
第1章 ある若きホテルマン
リッツ・カールトンの創始者であるセザール・リッツは、1850年、スイスのネーデルワイドで羊飼いの13番目の息子として生まれました。彼は15歳からウエイターとして働き、その後は多くの有名ホテルでホテルマンとしてのキャリアを積みながら、ヨーロッパの上流社交界の人々の趣味や嗜好を学びとっていきます。リッツのきめ細やかで完璧なパーソナル・サービスは多くの王族や富豪から信頼を寄せられ、さ まざまな一流ホテルが彼をマネージャーとして招きました。
そんな中リッツは料理人オーギュスト・エスコフィエと出会います。二人はホテルの料理やサービスに対する考えが一致しており、リッツがロンドンの有名ホテルにマネージャーとして招聘された際はエスコフィエも同行したほどです。よいホテルに素晴らしい料理は欠かせないと考えるリッツにとって、エスコフィエは 夢を実現するのに欠かせないパートナーでした。1907年に出版されたエスコフィエの料理本は、今なお多くのシェフのバイブルとして受け継がれています。
赴いたホテルで、リッツはエスコフィエによる最高の料理を供すとともに、レストランの営業時間を延ばしオーケストラを導入するなど、華やかな晩餐のシーンを提供。彼のサービスは英国の上流社交界の人々からも絶大な支持を得ました。それに対し、イギリスのプリンス・オブ・ウェールズ(皇太子、後のエドワード 7世)からは、"Where Mr. Ritz goes, there I go."(リッツの行くところに私も行く)という賛辞が寄せられました。










